文化講演会

6月14日月曜日。朝から生徒たちがソワソワしていました。
「今日はどんな人の話やろうか~」
「難しかとかな?」
「噂では、長崎日大高校も一緒ってよ~」

この日、6・7時間目に「高校生のための文化講演会」(一ツ橋文芸教育振興会主催)が行われました。
演題は「『人新世』の危機とみんなの未来~気候変動について考えよう~」。
講師は、『人新世の「資本論」』の著者で、最近テレビでも活躍されている、哲学者で経済思想史の研究者の斎藤幸平さんです。

「なんかさ、斎藤さんって、どこかで見た気がするとさね・・・」
「あの、問題文の人じゃない!?」
「あ!そうやった!!」

なんと、講演会直前の週末に高校3年生が受けた模擬試験の、国語の評論文の問題にも、斎藤さんの文章が出題されていたのです。

斎藤さんが考える「人新世」とは、地層という形で時代を切り取ったとき、地球のどこをとっても人間の何かしらの影響が見て取れる時代のことを言います。
現代がその「人新世」であり、現代の大量生産・大量消費の資本社の構造を変えなければ、今後、未曾有の気候変動が起こる恐れがあるというのです。
また、斎藤さんは、最近盛んに叫ばれている「SDGs(17つの持続可能な開発目標)」について「大衆のアヘン」という強い言葉で警鐘を鳴らしており、「SDGsに取り組むことで目先の問題にしか目がいかず、人々の経済活動を改革しなければ、根本的な解決にはならない」と話します。

これを聞いた高校3年生の辻郷くんは「南山でもSDGsに関する取り組みを生徒委員会の中で行っているので、斎藤先生の話は目からうろこだったし、もう一度考えなおすきっかけになった。
南山生はこれからの変化する社会に適応する力をこの学校でつけていくべきだと思う。」と話します。
講演会の最後には質疑応答の時間があり、本校からは3年生の保家くんが、社会の変革時に避けては通れない争いの問題について、2年生の小出くんが、日本における環境難民発生の可能性と具体的事例について質問し、わかりやすい回答をいただきました。

「環境問題というのは、遠い国の砂漠化が進行することや、見えないオゾン層が破壊されることだけを指すのではない。世の中の話題はコロナばかりで、僕たちの中には常に不安があるが、目の前のことだけでなく、広い視野で物事を見て、考えていかなければならない」(辻郷くんのお礼の言葉より抜粋)

オンラインだからこそ、普段はお会いすることができない方のお話をきくことができました。
今後の南山生の環境問題に関する意識や行動が変わる大きなきっかけになったことでしょう。