最近のキミに思うこと
キミが劇的に変わった。前向きな生活態度や授業に臨む姿勢が劇的に変わった。今年度の初めから二学期の初めころまでは、授業にはあまり興味を示さず、時に周囲を巻き込んで気持ちの赴くままに行動していたように見えた。兄弟にコンプレックスを持っているらしいとか、部活動は積極的にやるなどなど、あまり本質的ではない情報が耳に入ってきた。しかし、一つだけ、これはどういうことだろうかと引っ掛かった話があった。キミは、多くの先生ともっと話をしたいということだった。授業で見せる傍若無人なキミともっと先生と話したいというキミの姿のギャップが気になった。
それから少しすると、キミは他校の生徒たちとの集会で意見を言ったり、参加者の意見をまとめたりすることが得意で、未熟がゆえに時折見られる付き添っていた大人への無礼な物言いを差し引いても好ましい活躍ぶりであったとか、キミの違ったイメージが一つ出来上がってきた。
また、キミは留学をするらしいなどの情報がもたらされるのと同じころ、キミの急激な変化が始まった。授業中の集中時間が大幅にアップしていき、最近では机を教卓のすぐ前に移動させて、授業を聞くに留まらず、質問を私に浴びせるようになった。周囲もその行動につられて、集中して授業に取り組めるようになった。
キミが「多くの先生ともっと話をしたい」という感情を持っていたことに、私は引っかかっていたが、それは、人間不信ではないキミであった証明であって、そのことが前向きなキミに変化させたのではないだろうか。
最終的に自分以外の人間を信じてよいかどうかで悩んだときに、やはり他人を信じるという結論を出した生徒は、はやく前向きな高校生活になるのではないかと思った。そのことは、自分自身をある面で信じていることと同じではないかとも思う。