1月の風

1月の風(生徒諸君に寄せる、宮澤賢治のさん詩)

中等学校生徒諸君 ※中等学校は現在の高等学校に近い
諸君はこの颯爽たる
諸君の未来圏から吹いて来る
透明な清潔な風を感じないのか
それは一つの送られた光線であり
決せられた南の風である
諸君よ
紺いろの地平線が膨らみ高まるときに
諸君はその中に没することを欲するか
じつに諸君は此の地平線に於ける
あらゆる形の山嶽でなければならぬ
宙宇は絶えずわれらによって変化する
誰が誰よりどうだとか
誰の仕事がどうしたとか
そんなことを言ってゐるひまがあるか
新たな詩人よ
雲から光から嵐から透明なエネルギーを得て
人と地球によるべき形を暗示せよ

皆様、明けましておめでとうございます。
改めまして、新春の思いをぜひ深めてほしいと思います。
本年もよろしくお願いいたします。